2018-02-01
平成29年12月(第76号)
愛車コンドル5号が車検に行ったきり帰ってきません。僕はコンドル5号が無くなると半分くらいです。今コンドル5号の大切さを痛感しています。コンドル5号の無い今の僕は、馬の居ない武豊のようなものです。犬の居ない西郷隆盛と同じなのです。気軽に立ち寄ったお客さんから色の話をされても、コンドル5号があれば大丈夫。すぐにカラードグレーやCUDなど実用的な新色を含む、計632色と、更に「色差見本」の第2弾を収録した、色彩に携わる方には必携のツール日本塗料工業会発行の塗料用標準色ポケット版が、当然のように出てきます。雨が降ればポンチョも出てきますし、蛇に狙われれば、手ごろな棒も出てきます。両面テープも出てくるしバールのようなものも常備しているので、どんな釘でも抜けます。パイプレンチが有るので、結構な円柱でもねじれます。たまに床にある穴の二つあいた10㎝位の金属の何だかわからない金具を簡単に外す名も知れぬ道具も出てきますし、傾いている感じがするときに、垂直を見るレーザーも出てきます。胃薬も頭痛薬も絆創膏も各種電池も携帯の充電器も。いろんな太さや長さのネジだって出てきます。東にはまった車あれば組み立て式スコップも出てきますし、西に動かない車あれば、バッテリーケーブルだって出てきます。よそ行きの靴下と靴も出てきますし、極寒に耐えるオーバーズボンもあります。箪笥を滑らかすカグスベール70㎝タイプも二つも出てきます。無論小さな踏み台だって出てきますし、キイロスズメバチが出たら真っ向勝負を挑むラケットも出てきます。突然集金になっても、ちゃんと結構な量のお釣りも出てきます。水道の蛇口がだらしなくなっても、カツを入れるパッキンも出てきますし、ヒトスジシマカの大群に取り囲まれても、サラッとタイプの蚊よけスプレーも出てきます。しかし、いま代車として与えられた群青色の小さな車からは、何も出来てません。鼻をかもうと思ってもティッシュも無ければゴミ箱もありません。のどがイガイガしても飴もありません。油膜で見にくくてもクリンビューもありません。ジュースを買ったらドリンクホルダーがありません。左手に持ったままです。霧が出てもフォグライトもなく、夜走ると後ろの車のライトに照らされくっきり影が浮かび上がります。ハンドルもヌルヌルデューのです。43歳になり、少しは自分に自信も出てきていましたが、本当は自分には何の実力もないという紛れもない真実を、小さな群青色の車は僕に教えてくれます。名言グノーティ・セアウトン「汝、我を知れ」は古代ギリシャ時代ソクラテスが車検の折に心に刻んだ言葉かもしれません
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