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2018-04-10

平成30年4月(第80号)

何処も一緒でしょうが、うちの子供も2~4歳位迄、救急車や消防車やパトカーが特に大好きで、言い易さからか、とりあえず全て「ピーポー」と呼んでいました。当時うちの前には消防本部があったので、出動の度にピーポーを窓から見送らねばならず、食事や入浴中でもピーポーが出動する度に作業が中断していました。毎日見ているのに、土日はピーポーを、どうしても近くで見ねばならず、必ず週末になるとピーポーを至近距離から観察に行っていました。ピーポーを見に行くと、ひとしきりピーポーを眺めた後、ふいに振り返り「ピーポーだねぇ」と言ったりします。僕も「うん、ピーポーだねぇ」などと返したりします。僕は「赤いのはピーポーじゃないねぇ」等とも言ったりします。子供は「赤いのもピーポーだねぇ」と返してきたりします。そんな中、東京の嫁の実家に帰っているときに、当時4歳児が手に怪我をしました。うちの建具は古く安いので重たいのですが、東京のバーバの家の建具は、オオバーバ仕様で戸車がついているために見た目よりも遥かに軽く動きます。うちの建具のつもりで渾身の力で戸を建てようと引っ張り、勢い余って建具と壁の間に指を強かに挟んでしまいました。見たことのないような泣き方で、出血の量も多く、傷口からは骨がはみ出している様にも見えるので、直ぐにピーポーを呼びました。到着に15分位かかったでしょうか。異変が起こりました。僕らには何も聞こえないのに、今まで火がついたように泣いていた当時4歳時が「あ、ピーポーだ」と言い出し、泣くトーンが下がったのです。暫くすると、僕らにもピーポーの音が聞こえてきました。出血量を見てもらうために、抑えていたタオルやちり紙を袋に詰めたり、血で汚れた服の着替えを用意している間に、だんだんとピーポーが近づいています。ピーポーがうちに到着した時は、当時4歳児は完全に泣き止み、ピーポーが来た嬉しさから、事もあろうに笑顔さえのぞかせています。ピーポーに乗り込んだ時は、穴があったら入りたい気分になりました。はじめてのピーポー搭乗に当時4歳児がはち切れんばかりの笑顔でピーポーだピーポーだとピーポー内で大興奮なのです。ピーポー隊の人からは、「小さい子なので障害が残る場合もあるから、今回はピーポーを呼んで正解です」と言って貰ったのですが。僕は小さい声で、嫁に「つねって泣かせて雰囲気出せ」などと言いつつ、ピーポーの隅で夫婦二人で小さくなってゴニョゴニョヒソヒソしているうちに、やがてピーポーは病院に着きました。当時4歳児はピーポーを大満喫してご機嫌でしたが、若い外科のお医者さんから傷口をグリグリされ、再び聞いたことの無い声で大号泣していました。
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